水廻の総合商社  

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 ◎第2回(ウオシュレット・命名秘話―その2)

      

 気分転換に街に出て、トイレ回りの商品を見て回った。
「ブルーレット」「サワレット」「○○レット」などレットのつく商品が多い。そうだ、「ウオシュレット」はどうだろう。これなら社長のこだわる3つのポイント(さわやか・スッキリ気持ちよく・憶えやすい)に合致している。

 しかし「なんだ、それではただの洗うトイレじゃないか」とハネ返されそうだ。もう時間がない。何が何でも「ウオシュレット」で通すしかない。あれこれ迷わず、これでいこう。意を決して社長室のドアをノックしようとした瞬間、とっさにヒラメクものがあった。
「社長、ウオシュレットでいきましょう」。
「・・・・・」。良いとも、悪いとも反応がない。気まずい沈黙・・・・。そこで、さっきのヒラメキを・・・・。社長、これからは洗う時代、LET’S WASHを日本中に提唱しましょう。鳥居さんのサントリー、石橋さんのブリチ“ストン、あれですよ、LET’S WASHを何度か唱えるWASHLETになるでしょ」

どんな案にも「じぇんじぇん(全然)ダメ」と長崎弁で首を横に振っていた社長が「ウン」とニッコリ。
 「ウオシュレット」誕生の瞬間だった。

 名前は決まったものの、その後のCMづくりには苦労した。35年も前のことだ。テレビ番組に「便器」「トイレ」は出せてもCMには出せなかった時代。「大便」「お尻」「拭く」などもってのほかである。

 最初に流したのが、アニメの「カモメとクジラ」。軽妙なメロデイにのって海の向こうからカモメが数羽飛んでくる。一羽が反転して「お尻」の形になった瞬間、クジラが海面に顔を出し「お尻」めがけて潮を吹く・・・・。こんな感じである。

 視聴者の反応(評判)は○●2つに割れた。○ユーモラスで面白い。●もっとズバリ具体的に表現できないものか・・・・・。
 3歳の園児を持つお母さんからこんな苦情も寄せられた。「うちの娘から質問されて困っています。《ママ、カモメさんはクジラさんにお尻を洗ってもらうの?》
《そうよ、カモメさんとクジラさんは仲良しさんだから助け合っているの》、と言ったものの、娘にウソをついてしまって・・・・・」。これには参った。

 私の親父からも電話がかかってきた。「面白そうなCMだけど、もっと具体的に表現しないと売れんぞ」。そんなことは分かっている。いきなり「お尻」を茶の間に登場させるわけにはいかないのだ。しかしいつまでも「カモメとクジラ」というわけにもいかない、サテどうしたものか・・・・・。
                     (次号につづく)