水廻の総合商社  

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 ◎「同業者」はライバルじゃない。みんな「お友達」


  

 自宅から徒歩5分のところに車の修理店がある。30代半ばのAさんが一人で頑張っている。開業して約5年、最初は修理や部品の取り換え程度だったが、そのうち車検業務を柱に、中古車の斡旋などにも手を広げ多忙のようだ。私にとっては車検はもちろん、点検、不具合の調整など一切お任せの主治医である。Aさんと私がたまたま同郷であることを後から知ってさらに親密度は増した。散歩の途中などに目が合うと話題は車以外にまで及ぶ。
✦「好調の主因は①車検②情報③仲間の3点のようだ。
✦①「車検」は法律で定められた制度で2年ごとの実施が厳格に義務付けられている。車検が近づくと車の所有者は悩む「車検を受けようか、この際買い替えようか、いっそ車を手放そうか」。どれにしてもAさんには絶好の商機が訪れる。•車検(車の機能点検、修理、諸手続き)•買い替え(情報に基づく売買の仲介)•手放す(買い手の紹介、廃車手続き)の仕事が入ってくる。車の業界で「車検制度」の果たす役割と経済効果は絶大である。
②「情報」一度ご縁のできたお客からの情報はもちろん、看板や評判で知った近隣からの問い合わせが次の仕事の糸口になる。まさに地域密着の商売である。③「仲間=同業者」車検で定められた重要チェック項目以外にも修理、点検の仕事は多岐にわたりすそ野も広い。「自分でやれる仕事でも外部の仲間、同業者に任せた方がよいケースもある」という。例えば①仕事が重なったとき②仲間との絆を太く密にするため③逆に仕事を廻してもらうため。同業者はライバルだがお友達でもあるのだ。
★「車」とよく似た業界が「住宅」である。
最近数か所のリフォームをした。きっかけはキッチンの混合栓の調子が悪かったこと(首がスムースに回らない)。近くの「水回りのリフォーム店」に電話した。早速担当のBさんが現れた。「このタイプはもう古い。修理するより最新式に取り換えましょう」と、あらかじめ用意されたカタログでの説明が始まった。それから先は省略するが、結局キッチンの混合栓はもちろん、想定外の浴室シャワーまでも新機種に取り換えてしまった。作業が終わったところで、「じつは廊下のコンセントと洗面所のライトのスイッチの調子が悪いし、網戸も玄関の鍵も具合が悪いのだが、Bさんついでにお願いできないかな?」と持ちかけたところ・・・・・。「電気の2か所は私が修理しましょう。でも網戸と玄関の鍵のことは私の親しい仲間に連絡しますのでよろしく」の返事。
★「住まい」と「車」の業界に共通するもの。それは地域密着・情報・仲間である。しかし「車」にあって、「住まい」にないものがある。「車検」があって「住検」がないことだ。「住検」とは簡単に言えば、住宅・設備の定期的な点検を法律で義務付ける制度である。これが業界にもたらす経済効果は絶大であろう。景気刺激策の筆頭にあげてみてはと思うのだが。